日曜メッセージ:「忍耐を持って走る」ヘブル12章1節~3節
聖書箇所:ヘブル12章1節~3節
タイトル:忍耐を持って走る
皆様、おはようございます。本日から新しいメッセージシリーズを始めます。ヘブル12章を基にするシリーズで、タイトルは「追求」です。私たちクリスチャンが追求することは何でしょうか?大学時代、イギリスのジョン・バニヤンの「天路歴程」”The Pilgrim’s Progress”を初めて読みました。読まれた方はいらっしゃるでしょうか。これは「破滅の町」に住んでいた基督者の男が、「虚栄の市」や破壊者アポルオンとの死闘など様々な困難を通り抜けて、「天の都」にたどり着くまでの旅の記録をつづった、素晴らしい小説です。この旅はキリスト者が人生において経験する葛藤や苦難を描いています。日本語訳もあるので、ぜひ読んでみてください。
人生、信仰の歩みに重要なことが二つあります。一つ目はフォーカスです。例えば、買い物のことを考えましょう。私は絶対に買い物のリストを持って、何を買うか前に決めてから買い物に行きます。そして、リストを野菜、肉、乳製品と頭の中で分類して、お店のどこを通るのか決めます。私はそうしないと、これが欲しいとか、あれも欲しいとか、チーズやホットフードのセクションに行ってみようかとなってしまい、お店にいる時間が二倍になり、お会計も二倍になってしまいます。
キリスト者は、簡単にフォーカスを失ってしまいます。私たちは人生の追求と目的を失ったり、誘惑に惑わされたり、神を喜ばせる歩みから外れてしまうことがあります。フォーカスは常に目をイエスに向けることです。目を下に向けず、右や左へも向けず、私たちのゴールでもあるイエスに目を向けること。
二つ目、信仰の歩みにとって大切なことは忍耐です。私たちは簡単に疲れて諦めたりします。どんな時にやる気を失うでしょうか。しかし、聖書の中では何度も忍耐を持ちなさい、努力をしなさい、 信仰の戦いを立派に戦いなさいと記されています。このシリーズが皆様と力と励ましになることが私の祈りです。
今日の聖書箇所にはフォーカスと忍耐に関して記されています。三つのポイントです。1)あなたには過去の証人が取り巻いている。2)すべてを忍んだイエスから学ぶ。3)忍耐を持って走るためには。
1)あなたには過去の証人が取り巻いている。ヘブル12章1節「私たちの周りには多くの証人たちが私たちを取り巻いています。「こういうわけで、このように多くの証人たちが、雲のように私たちを取り巻いているのですから、私たちも、一切の重荷とまとわりつく罪を捨てて、自分の前に置かれている競走を、忍耐をもって走り続けようではありませんか。」ヘブル11章には名前のリストが記されています。彼らは皆、旧約聖書の登場人物であり、その模範的な信仰が称賛された人たちです。
ノアは信仰によって、神からの警告を受け、恐れかしこんで家族の救いのために箱舟を作りました。アブラハムは信仰によって、母国をさり約束された地に他国人のように住みました。モーゼは信仰によって、イスラエルをエジプトの束縛から解放させました。ラハブは信仰によって、偵察に来た人たちを穏やかに受け入れました。他にもたくさんいます。ギデオン、バラク、サムソン、ダビデ、サムエルなど。
彼らが称賛された理由は、見えないものを確信したからです。彼らは皆大きな試みに直面しました。その試みがいつ終わるのか、どのように解決されるのかわかりませんでした。しかし、彼らは確信を持って、神の御心に従いながら歩みました。多くの場合、神のことを信頼した結果、人に批判や迫害などされましたが、彼らは神の道から外れず確信と忍耐を持って歩みました。
しかし、面白いことに、誰一人として完璧な信仰を持っていた人はいませんでした。誰もが過ちを犯したり、神を疑ったりしました。それでもやはり私たちは、彼らの通ったあらゆる種類の困難や経験から学ぶことができます。あなたにとって先ほど話した名前のリストから学ぶことができる人はいるでしょうか?お時間がある時に、ヘブル11章を読んでみてください。
自分と同じようなことを経験をした人、同じような苦しみを感じたことがある人がいると、励ましと力に繋がりますね。それでも彼らは神から目を離さず、様々なチャレンジを耐え忍びました。
この箇所に関して、一つよく誤解されることがあります。多くの証人が私の周りを取り巻いている、というのは、私の応援団がいて、励ましてくれている、という意味よりも、神から目を離さなかった信仰の模範が私たちの周りにいて、私たちは彼らから習うことができる、という理解が正しいです。
2)すべてを忍んだイエスから学ぶ。ヘブル人への手紙の大きなテーマはイエスキリストの優越、イエスはすべてのものにまさって素晴らしい、ということです。英語で言えば、supremacy。イエスは御使いたちよりも優れている、旧約聖書のモーゼよりも優れている。イエスは偉大な大祭司であり、より優れた契約の仲介者であります。イエスは最も優れた生贄、すなわちご自分を捧げられました。そして、イエスは究極的な信仰の模範です。そう考えると、ヘブル11章の名前のリストの一番上に立つべきお方はイエスですね。
私たちはイエスから信仰に関して何を学ぶことができるのでしょうか?たくさん学ぶことができます。ヘブル12章2節「信仰の創始者であり完成者であるイエスから、目を離さないでいなさい。この方は、ご自分の前に置かれた喜びのために、辱めをものともせずに十字架を忍び、神の御座の右に着座されたのです。」イエスは私たちの信仰の創始者であり、完成者です。イエスは完璧な信仰を私たちに示してくださいました。イエスは父なる神に従い、定められた道を忠実に歩まれました。イエスはたくさんの試みと戦いましたが、すべてを乗り越えて、神に栄光を表されました。
イエスは信仰のパイオニア、先駆者です。パイオニアとは他の人に先立って、新しいことを切り開く人、開拓者です。パイオニアと聞くと、科学的な発明、例えばIPS細胞、宇宙開発競争(スペースレース)などを思います。宣教師もそうですね。鈴木先生とナンシーさんの働きのように、教会がないところに教会を開拓するのはパイオニアですね。同じように、イエスは信仰の道を私たちのために備えてくださいました。だから、私たちはイエスの後について行ったらいいのです。
そして、イエスは信仰の完成者です。イエスはすべてを克服され、耐え忍ばれました。イエスは最後まで神の働きを果たし、神の御心に従い、神の召しを成就されました。イエスは一体何を経験されたのでしょうか?ヘブル12章2節の後半です。「この方は、ご自分の前に置かれた喜びのために、辱めをものともせずに十字架を忍び、神の御座の右に着座されたのです。」イエスは私たちに想像できない、苦痛を経験されました。神であるイエスはご自分を低く、空しくし、しもべの姿をとり、自ら死、それも十字架の死を受けました。イエスは想像できないほどの痛みと侮辱、辱めを受けました。それでも、イエスは神の召しを全うしたのです。
私たちが忍耐を持ち、走り続けるためには、イエスから目を離してはいけません。イエスはあなたの信仰の究極的な模範であり、イエスはあなたが今戦っている試み、あなたの今の状況に共感してくださるお方です。最初にも言いましたが、目を下に向けず、右や左へも向けず、信仰の創始者と完成者であるイエスだけに目を向けて、イエスから学びながら歩みましょう。
3)忍耐を持って走るためには。忍耐を持って走るためには何が必要なのでしょうか?私たちは過去の証人とイエスから学ぶことができることがわかりました。しかし、忍耐は簡単に得ることができるものではありません。マラソンのことを想像しましょう。マラソンを走るためには何が必要でしょうか?一つはトレーニングですね。
普通はいきなりマラソンを走ることはできません。今年のホノルルマラソンはコロナの影響でバーチャルマラソンになったそうですが、マラソンに参加するためにはトレーニングが必要です。そして、ちょっと体重が減らしたり、ダイエットを変えたり、食べ物に気をつけます。ヘブル12章1節後半の部分をもう一度お読みします。「私たちも、一切の重荷とまとわりつく罪を捨てて、自分の前に置かれている競走を、忍耐をもって走り続けようではありませんか。」クリスチャンの旅を歩むためには一切の重荷とまとわりつく罪を捨てなければいけません。マラソンを走る時、30キロのバッグを持ちながら走らないのと同じです。
この箇所がいう霊的な重荷とは何でしょうか?それは私たちと神の間に立つもの、罪、罪悪感、恐怖、無関心、疑い、誘惑など、私たちのフォーカスを妨害するものです。私たちを弱めるもの、私たちを鈍くさせるものです。忍耐を持って走るためにはすべての重荷を神のみ前に下さなければいけません。あなたにとってその妨害は何でしょうか?罪でしょうか?神に罪の告白をしましょう?恐怖でしょうか?神を信頼して、信仰の次のステップを進みましょう。
最後にすべてを耐え忍ばれたイエスのことを考えましょうと記されています。考えるというのはただ頭の中で思うだけでなく、熟考する、という意味です。イエスのことをじっくりと深く考えてみましょう。イエスの働き、イエスの表してくださった模範を考えると、元気と力が与えられるでしょう。人生の歩み、信仰の歩みは長いし、アップダウンだらけです。忍耐が絶対に必要です。忍耐がなければ、すぐ元気を失って疲れ果て、倒れてしまいます。
最後に、忍耐を持つために最終目的を想像すると良いでしょう。イエスは神の召を果たした結果、神の御座の右に着座されました。神はイエスを高く上げ、 すべての名にまさる名を与えられました。私たちにも栄光の冠が備えられています。忍耐を持ってゴールを目指しましょう。