デボーション:「トンネルの先の光」
デボーション:「トンネルの先の光」
*4月8日にハワイ報知新聞イースター特集に掲載された記事です。
分厚い聖書は創世記という書から始まります。その6章にノアの箱舟のお話が記されています。聖書を読んだことがなくてもノアの箱舟の話は知っているという方も多いのではないでしょうか。神は地上に増えた人々の堕落を見て、彼らを洪水で滅ぼすと「神と共に歩んだ正しい人」であったノアに告げ、「箱舟を建て、家族と動物一対ずつを船に乗せなさい」と命じられました。ノアはその命令に従い、ノアを含めて家族8人はおよそ370日間、方舟から一歩も出ることができず漂うことになったのです。船の中の詳しい状況については聖書に記載がありませんが、想像に難くありません。
子供たちは「まだ船から降りられないの?」と親に絶えず尋ね、悩ませたでしょう。家族であっても、四六時中顔を合わせていることにお互いストレスを感じたでしょう。子供たちは外で遊ぶことができない、大人は運動をすることができない。長期間船の中に閉じ込められていることのストレスは大きかったと思います。さらに箱舟の中にはたくさんの動物がいましたから、その世話も大変だったでしょうし、鳴声や臭いもひどかったでしょう。そんな生活環境の中で、ノアはいつ船から降りられるのかも全然分かりませんでした。彼は心配していたでしょう。不安だったでしょう。
ノアは水が地面から引いたかどうかを見ようと、定期的に鳩を放ちました。何度も鳩を放ちましたが、その度に鳩はノアのところに戻ってきました。しかしある日、 ノアが放った鳩はオリーブの若葉をくちばしにくわえて帰ってきました。それでノアは地から水が引いたことを知りました。地上の水が乾いて、ノアの家族がついに船から降りた時、神は約束を立て、しるしとして虹を表しました。虹は神の哀れみと愛を示します。ハワイにはたくさんの美しい虹がかかりますよね。
さて、もうすぐ復活祭(イースター)ですね。復活祭は、十字架に架けられて亡くなった主イエスキリストの復活を祝う特別な記念日です。イエスは亡くなったあと、埋葬され墓に納められました。イエスの弟子たちは愛する師が亡くなってしまった、神の御子が亡くなってしまったと、深く悲しんでいたでしょう。
三日後、二人の女性が墓を訪ね、見ると、墓の入り口を塞いでいた大きな石はわきに転がされていて、墓の中に主イエスのからだは見当たりませんでした。そこに天使が現れ、二人の女性に語りました。「ここにはおられません。よみがえられたのです。」イエスは復活された!イエスは死を克服した勝利者であり、イエスの復活により私たちに永遠の命が与えられた!これがイースターを祝う真の理由です。イエスの復活を通して、神の私たちに対する愛と哀れみが究極的に示されたのです。
ノアとイエスの弟子に共通している一つは将来に対する不安ではないでしょうか。先が見えない。今の状況がいつまで続くのだろうか。不安でいっぱい。新型コロナウイルスの影響で自宅待機中の私たちも同じような状況にいます。「いつ家から出られるの?」「どうやって毎日を過ごしたら良いの?」「ウイルスに効く薬はいつできるの?」疑問は尽きません。
現在、世界中が試練の中に置かれています。たくさんの人が病、失業、金銭的な困難、そして精神的ストレスで苦しんでいます。自分の力ではもうどうしようもない時、あなたは誰に助けを求めるでしょうか。神は必ず救い、慰め、助けて下さいます。神は哀れみ深く情け深い。この試練の時にこそ、愛と恵に富んでおられる神を求めましょう。
旧約聖書に出てくる預言者イザヤが語ったように、主の勝利を宣言しましょう。「見よ。神である主は力をもって来られ、 その御腕で統べ治める。」イエスキリストには希望があります。私たちはいま暗闇に覆われていても、トンネルの先には光があります。イエスキリストは世の光、いのちの光、希望の光です。今年の復活祭、主の救いにある希望と勝利を宣言しましょう!